堀内徹夫

9月議会

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9月議会

9月議会反対討論

9月議会, 議会報告

私は、日本共産党市議団を代表して、本議会に提案されております諸議案のうち、議案第167号、168号、170号ないし172号、174号、184号に反対し、討論を行います。

まず、議案第174号、福岡市旅館業法施行条例の一部改正案についてです。

本議案は、住宅の全部または一部を活用したいわゆる「民泊サービス」の旅館業法の許可取得を促進するためとして、国の施行令などが改定されたことから、福岡市においても旅館業法施行条例に規定する営業施設の構造設備の基準および営業施設について講ずべき措置の基準の一部を緩和するものであります。

今回の改定により、民泊施設と一般市民が暮らす住戸が同じマンションの中に混在することが認められるようになり、騒音やトラブルなど、住環境が破壊されるのではないかという懸念があります。

市は「管理規約などを確認する」としていますが、「住宅専用」と定めてさえいなければ要件を満たすことになります。審議の中でわが党は、規約の確認では何の歯止めにもならず、民泊として使用することをしっかり住民が理解・合意することが必要だと指摘し、市は「合意は前提だ」と認めざるをえませんでしたが、合意を要件とする内容は条例案の中には何もありません。

また、今回の改定でフロントを設けなくとも宿所が開設できるようになり、代わりに宿泊場所から離れた管理事務所でビデオカメラやインターホンなどによって対応することが可能になります。わが党が質問の中で厚生労働省や他の自治体からのヒアリングの結果を紹介したように、同じ建物にフロントがなければ、本人や出入りする人の確認、緊急時の対応はできません。そのことは、ホテルや旅館では引き続きフロント設置が義務付けられ、民泊についてもフロント設置が「望ましい」と国の要領で定められたことを見ても明らかです。このことを質問で市にただしても、明確な回答はありませんでした。

管理事務所や連絡先の表示も義務付けられておらず、トラブルや緊急事態が起きても、近隣住民はどこに連絡してよいのかわからなくなることや、管理事務所が置かれる「速やかに駆けつけられる範囲」についても具体的な距離・時間の基準は設けられていないことも審議の中で明らかになりました。

さらに、フロントのない宿泊施設を市自身がラブホテルの疑いがあるとしている中で、こんな規制緩和を行えば偽装ラブホテルが増え、住宅街にも広がる恐れがあるではないかというわが党の指摘に対して、市は「警察と連携し適切に対処する」というのみで、規制を強化して未然に問題を防ごうという姿勢は全く見られませんでした。

こうした近隣トラブルなどが実際に市内でどうなっているか知る上で、現在の「違法民泊」の実態をつかむことは不可欠ですが、市は「所在が不明」などと言って、まともに調査すらしていません。踏み込んだ調査によって1260件もの所在をつきとめた京都市などと比べれば、その姿勢は雲泥の差であります。

以上のように、これまで条例にあった住環境を守るための規制が取り払われることの代替措置は、改定案の中にはどこにも用意されていないことが、審議の中で明らかになりました。

このような安上がりの民泊の横行は、安全のためのコストをかけているホテル・旅館などの経営に打撃を与え、旅館業法がめざす「旅館業の健全な発達」を破壊することになるのは必至です。

したがって、わが党は、「違法民泊」を合法化し、住環境を破壊する本議案に反対いたします。

次に、議案第167号、一般会計補正予算案についてです。

今回補正予算には、人工島の住宅開発エリアの道路建設のための経費が含まれておりますが、補正を組んでまで急ぐ必要はまったくなく、破たん救済の税金投入は認められません。

また、須崎ふ頭那の津の学校給食センターの移転・統廃合に伴う解体工事費として来年度分を含め1億4000万円の補正が計上されています。この土地は、5年前に多額の移転補償費をかけて既存中小企業を追い出し、臨港道路を廃止までして誘致した大手の日清製粉福岡工場に隣接しています。当時、高島市長は日清製粉に対して、須崎ふ頭の臨港地区指定を維持することを秘密裏に誓約し、日清製粉は進出後すぐに、給食センター用地をほしいと市に申し出たのであります。そして今回、市長はこの約7500平方メートルの貴重な公共用地を、市民のための活用をまともに検討することもなく、早々に教育委員会から港湾空港局へ所管替えして、しかも公募することさえせずに、随意契約で隣接する日清製粉ら2社に売り渡そうとしています。まさに、売却先にありき、日清製粉いいなりだと言わなければなりません。

したがって、大企業に便宜を図る異常なやり方で、貴重な公共用地を売払うために、給食センター解体を急ぐ予算補正にわが党は賛成できません。

次に、わが党が賛成する議案のうち、議案第182号、小学校校舎の取得について、意見を述べます。

本議案は、博多区美野島に建設され、昨年4月から始まった新しい住吉小中連携校の校舎棟の一部を、教育委員会が施設整備公社から買い入れるものです。

この住吉小中の校舎につきましては、先月、地元自治協議会、PTAなど地域の代表のみなさんが、高島市長あてに要望書を提出されております。それによりますと、「新設校は、開校前からグラウンドの水はけや施設全体の雨水排水問題。施設内の雨漏りなど現在も問題を残したまま開校し、教育環境として問題が解決されないままになっています」とのことであります。そして、1階のビオトープが井戸の水質、循環ポンプの故障、水漏れで機能していないとして、改修を要望されています。わが党ひえじま議員の調査によると、ビオトープは空っぽ、校舎2階の真新しい廊下の板が水を吸って黒く変色しており、できたばかりの学校がこのようなひどい状態になっていることは大問題です。

第2委員会における審議で、わが党が、校舎の新築工事を請け負った清水建設を筆頭としたJV、「清水・菱興(りょうこう)・西鉄・占部・東部建設工事共同企業体」の責任を追及したのに対し、教育長は「原因究明をする」と答弁しました。施設整備公社を通じて、教育委員会の責任で早急に調査し、解決するよう求めます。あわせて、このJVには地元大手の西鉄が参加していますが、その西鉄は今月入札が行われた平尾小学校講堂兼体育館の改築工事で落札したJVにも加わっています。原因究明の結果が出るまで、問題に関与している企業への工事発注は控えるべきであり、再検討し、やり直すよう要求するものであります。

以上でわが党の討論を終わります。

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