9月議会
補正予算などの賛成討論
私は、日本共産党市議団を代表して、本議会に提案されております諸議案に賛成し、討論を行います。
はじめに、議案第176号「令和4年度一般会計補正予算案(第4号)」について述べます。
まず、「電力・ガス・食料品等 価格高騰 緊急支援 給付金」についてです。この給付金は、電力・ガス・食料品等の価格高騰による負担増を踏まえ、特に家計への影響が大きい低所得世帯に対する支援として9月20日に閣議決定され、住民税非課税世帯および家計急変世帯へ5万円を給付するものです。
物価高騰に苦しむ家計の現状にかんがみ、給付金を一刻も早く手元に届けるべきであるという立場から、わが党は本給付金には賛成いたします。
しかしながら、3点にわたる問題を指摘せざるをえません。
第一に、給付対象の範囲があまりにも狭いことです。本市の会計年度任用職員として非正規で働く方でも、年収が160万円程度の報酬しかなく、靴も服も買えないで、娘や孫のお下がりを着ている実態を、わが党は議会質問で紹介いたしました。課税世帯の方でも、この物価高騰によって、憲法が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」が脅かされていることが審議で明らかになりました。こうした方々にも給付が緊急に必要です。
第二に、給付額が少なすぎることです。帝国データバンクの調査では、現在の食品等の値上げラッシュだけでも、1世帯あたり6万8760円の負担増を強いられており、これにさらに光熱費や食料品以外の値上がりを加えれば、5万円では到底足りません。
第三に、給付の業務が、問題の多い企業に丸投げされることです。市は、今回の給付事業を日本トータルテレマーケティング株式会社に委託しようとしています。この企業は、前回のコロナの臨時特別給付金の給付において、予定した給付時期から大幅な遅れを生じ、市長や福祉局長が謝罪に追い込まれるなど、大変な混乱を生み出した問題企業です。その反省もなく、またこの企業に委託をするなど、許されることではありません。
今申し上げました3点について、市として速やかに改善の手立てを取るよう意見を述べておきます。
次に、議案第176号のうち「事業者等への支援」についてです。
これは、原材料費および水光熱費の高騰を受け、新たな商工金融資金の創設、中小企業・介護施設・障害者施設・保育所への光熱費の支援などを行うものです。
これらについても、現在の物価高騰のもとでの中小業者などの苦境にかんがみて、わが党は一刻も早く支援を行うべきであるとの立場から賛成をいたします。
しかしながら、やはりここでも2つの問題があることを指摘せざるをえません。
第一に、金額があまりに少ないことです。たとえば介護施設に対する支援は、入所施設でいえば1施設あたり5万円プラス定員1人あたり5000円となっております。しかし、私たちがお話を聞いた社会福祉法人では、この水準では物価高騰による実際の影響額の1割程度にしかならないと言われました。
第二に、医療機関への市独自の支援は全くないことです。市は「県がやっているから問題ない」という立場ですが、県の「価格高騰重点支援地方交付金」は医療機関が直面している影響に全く見合うものではありません。私たちが聞き取りをした市内医療機関は年間3690万円も負担が増えており、同交付金では1747万円程度しか手当てできないことが明らかになっています。
したがって、支援の金額などを充実させるとともに、市として医療機関に対し独自に支援を行うよう求めておきます。
次に、議案第177号「アイランドシティ地区小学校 校舎棟 新築工事請負契約の締結について」に関してです。
この議案は、人工島の照葉地区内に設置されている照葉北小学校が過大規模化により教室不足に陥ったため新小学校を分離新設することとし、その新小学校の校舎棟を新設するため工事請負契約を締結するものです。
わが党は子どもたちの学ぶ権利を保障する立場から分離新設そのものには賛成いたします。しかし、審議で明らかになったように、人工島に偏重した異常な開発優遇策によって人口が急増し、その結果、学校がパンクして新しい学校をつくったその年にさらに新しい学校を造る決定をせざるをえなくなるなど、市長と市教育委員会のやり方はあまりに無計画です。猛省を求めるとともに、福岡市全体に広がる過大規模校の問題の解決のため、マンションなどの開発規制へ踏み出すよう改めて強く求めておきます。
次に、議案第178号「アイランドシティ地区小学校講堂兼体育館棟 新築工事請負契約の締結について」です。
この議案は、新設する人工島・照葉地区内の新小学校の講堂兼体育館の工事請負契約を締結するためのものです。
議案質疑でも追及いたしましたが、猛暑の中で子どもたちが体育をする場所であるだけでなく、災害時には住民の避難施設ともなる体育館にエアコンをつけないのは、もはや時代錯誤です。そもそも体育館は風通しが悪く、熱気がこもりやすい構造になっているところがほとんどであり、対流が生じず、うつ熱(ねつ)状態になるため熱中症のリスクは高いと言わねばなりません。千葉県の流山市で今年の6月、体育館でシャトルランをしていた小学生12人が熱中症となって搬送され、うち7人が中等症になった事件は記憶に新しいところであります。
体育館へのエアコン設置について、市長や教育長はお金がないと言い訳されますが、健康や命はお金では代え難いものです。破綻した巨大開発に湯水のように税金を使うなら、子どもたちの命のためにこそお金を使い、新設小学校から計画的に整備をするよう求めておきます。
以上でわが党の賛成討論を終わります。
以上