12月議会
12月議会反対討論(補正予算以外)
私は、日本共産党市議団を代表して、本議会に提案されております諸議案のうち、議案第217号ないし225号、227号、228号、231号、232号、236号ないし238号、241号、242号、244号ないし246号、248号ないし255号、258号、259号、261号、262号、および267号に反対し、討論を行います。
まず、議案第258号「福岡市 東部地域 小・中学校 特別教室 空調整備PFI事業に係る契約の締結について」、および議案第259号「福岡市 西部地域 小・中学校 特別教室 空調整備PFI事業に係る契約の締結について」です。
本議案は、東部地域71校、西部地域73校の特別教室へのエアコン設置に係る設計・施工・工事管理・維持管理・移設等について、特定目的会社と契約するものです。
小・中学校の特別教室へのエアコン設置は、子ども・保護者・現場の教職員が切望してきたものであり、市長や教育長が背を向けてきた時期から、わが党は強く実現を迫ってまいりました。しかし、今回市長が提案しているPFI方式については、現場労働者の賃金や安全コストが安く叩かれる危険があることなど、いかに問題の多いものであるか、わが党の議案質疑をはじめ本議会の審議の中で明らかにされてきました。
地場の中小業者に仕事が回らないという点はとりわけ重大です。実際に工事をする下請業者のうちどれくらいが地場中小業者になるのかをただすと教育委員会は「8割」と答えましたが、本当にその通り発注されるのか重ねて追及すると、その保証はないことが委員会の審議で浮き彫りになりました。現に、普通教室へのエアコン設置については、下請業者のうち3割から4割は市外の業者に発注されていたのであります。特別教室への設置についても、市が直接施工する学校については100%地場となったように、地域経済の振興を考えればPFI方式ではなく、直接施工こそ最も適当ではないかとわが党は提案しました。しかし、教育長は「PFI方式が最適」だと繰り返し、直接施工を頑なに拒んだのであります。
小規模企業者への配慮や地場中小への発注機会の確保をうたった中小企業振興条例の考えに照らし、今回の議案は問題が多いと指摘せざるを得ません。
次に、議案第232号「福岡市宿泊税条例の一部を改正する条例案」についてです。
本議案は、宿泊税に関する帳簿等の電磁的記録による保存について、承認制の廃止などを行うためのものです。
そもそも宿泊税は宿泊客や宿泊業者に重い負担を強いているものです。持続可能な観光のために、「観光産業を不利な立場におき、観光産業の競争力への妨げとなっている特定の課税や課金は、徐々に廃止または修正されるべきである」と定めた世界観光倫理憲章の考えに反しております。
昨日本会議において補正予算が可決され、その中には市内宿泊事業者への支援も含まれておりました。それ自体はわが党も一定の意義のある施策だと考えておりますが、本市が市内の中小宿泊事業者への支援を真剣に取り組もうとするのであれば、県とも協議して、宿泊税の徴収そのものを、時限的であっても停止し、宿泊業者や宿泊客の負担軽減に取り組むことこそ必要であります。したがって、宿泊税の徴収を続けることを前提とする本議案には賛成することはできません。
次に、議案第262号「発達障がい者支援・障がい者就労支援センター(仮称)新築工事請負契約の締結について」です。
本議案は、同センター新築のための約12億円の工事請負契約について議会の議決を求めるものです。
発達障害の早期発見、早期の支援を行い、地域の総合的な支援体制を整備するため、また、障害者の就労およびその継続の支援のためにこうしたセンターを設けることは、積極的な前進であり、わが党としても賛同・推進する立場です。
しかし、契約の中身を見ると、同センターは7階建てとされており、1階から4階までは発達障害者支援および障害者就労支援のための施設ですが、5階から7階まではすべて「事務所」とされています。ここには、現在市庁舎の北別館に入っている保健福祉局のシステム運用室をはじめ、市の部署や関連団体などを入居させることが、委員会の審議で明らかになりました。
北別館は築45年しか経っていないにもかかわらず廃止・解体され、土地は福岡地所・九州電力・九電工・前田建設工業などのグループに貸し出され、19階建て、高さ88mのオフィスビル建設が予定されています。つまり「天神ビッグバン」推進のために取り壊され、その受け皿として、今回提案されているセンターの建物の中に入ることになったのであります。
いわば“大企業がもうけをあさり尽くし、その尻拭いをする議案”ともいうべきものであり、わが党としては容認しがたいものだと言わねばなりません。
次に、わが党が賛成するもののうち、いくつかの議案について意見を述べておきます。
まず、議案第229号「福岡市事務分掌条例の一部を改正する条例案」についてです。
本議案は、新型コロナウイルス感染症に係る取組みなどを充実強化するために、保健福祉局を廃止し、環境局のウイルス検査部門などとあわせて、新設される福祉局・保健医療局へと再編するためのものです。
わが党は、コロナ対応をはじめとする感染症対策などを強化するために、行政組織を再編することには賛成です。
他方で、今回のわが党の一般質問で、8月の第5波における保健所の平均残業時間が過労死ラインの80時間を超え、最高で221時間になったことが明らかになったように、いくら組織を再編したとしても肝心の対応のための人員・予算が抜本的に増えなければ対策の充実強化はできません。いわゆる「組織いじり」に終始せず、必要な予算・人員を増やすよう求めておきます。
次に、議員提出議案第4号「福岡市建築紛争の予防と調整に関する条例の一部を改正する条例案」についてです。
本市のマンション建築をめぐる苦情や相談自体は減少しているものの、住民との対立にまで発展するケースについては、私たちも実際に見聞きしてきましたが、建築主側が条例の抜け穴をかいくぐり説明会を開かない、住民との日程調整も行わないまま一方的な説明会を行うなどの目に余る行為が後を絶ちません。いわば悪質な業者に直面して、近隣や周辺の住民が最も困っている点において、条例の形骸化が起きているというのが、本市の実態であります。
だからこそ、私たちが条例の原案を、困っている住民の皆さんや、住環境を守る団体、住民側の立場にたった弁護士にお見せしたときに、歓迎する声をいただきました。
私たち日本共産党市議団の大もとの立場から言えば、マンション建設に住民の合意を盛り込む規定を求めるところでありますが、与野党のみなさんに賛成していただけるよう、住民が要求した場合の説明会の義務化など、他の政令市でも実施されている最小限のものに絞り込んで提案いたしました。
この中で、説明会の議事録を、原則として説明会に参加した住民の全員署名をもって提出させるという点は、他の自治体ではあまり見られない規定になっています。他の自治体にないのはその通りでありますが、言い換えれば議事録をいわば捏造して出すなどという業者の悪質さも他の自治体にはないものだと言えます。
正確な議事録を出すというのは、「ご飯を食べる」「息をする」というような当たり前のことが条例にかかれないのと同じように、他の自治体の条例で規定がないのは、発言を双方で確認するという、ごく当然のことであるからだと考えます。本議案は、こうした当たり前のことが守られていないので、それを実行させるための最小限の措置であります。本市の住宅都市局が発行している現行条例の「解説」書においても、議事録の双方の確認は求めていることであり、また、審議の中でも、特別な事情や正当な理由がある場合は、署名は不要であり、およそ過度な負担とはならないことも明らかとなりました。
福祉都市委員会でわが党以外の賛同が得られなかったことはまことに残念ではありましたが、悪質な業者に苦しむ住民に今一度思いを馳せていただき、最小限の改正となる本議案に、ご賛同いただきますよう心からお願いいたします。
以上で、わが党の討論を終わります。